それでも町は廻っている

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)



これほどまでにメイド喫茶の設定が無意味なマンガって、他にあるだろうか!?



萌え? それってどこの星の話ですか? だってこれって制服だし。
そんな話が聞こえてきそうなくらいとてつもなくナチュラルにメイド服を着てやがります。
というか、喫茶店のマスターである老婆までもがメイド服を着ている時点で、明らかに間違えてます。
もはやメイドじゃない。魔女です。
しかもどういうわけか意外と自然に着こなしてるし……


それでも最初の方は、いくらかメイド喫茶的な話は出ては来るんです。
ええ出てきます、出てはくるんですが、メイド服うんぬんとかまったく関係ない話をするようになってからの方が面白いと言うのは果たしてどういくことなのか!?
メイド分が抜け、個々の登場人物から不自然さが抜けるに従って、店の外へと話が広がり、がぜん面白くなるんですよ。
メイド喫茶の話、ではなくて、
メイド喫茶のある町内の話。
メイド<町内。
笑いあり涙あり人情ありの、下町を舞台にした小話といった雰囲気が、いや、もう、とてつもなく素晴らしい。
下町でメイドがどたばたする話と、これだけ描くとどこの異次元かと思いますが、なんだか素敵にマッチしています。


ただ、一話一話の独立した小話であるだけに、まったく予想のできない展開からまったくの投げっぱなしで終わることもしばしばです。
「そこで終わるのかよ!」と叫ぶこと請け合い。
そして明らかに「え、そこは無かったことにして普通に続けるべきじゃ!?」というところが続きます。


主人公の愛すべきバカさ加減と、いまどき書くのも恥ずかしい『下町人情』が融合した話。
ときたま怖いぐらいにリアルなコマがあるのが、面白くもありちょっとした恐怖でもあります(笑
あきらかに画力を無駄遣いしたコマが……!


以下、ちょっとしたネタバレ感想


一番投げっぱなしだと思ってた二巻、18話の「穴」、対語表に照らし合わせてよく読んでみると、なんの問題もないんですね、実は。
なんでいまどきこんなハンター文字するんだと思ってたら、こんなトリックだったとは。
普通に読むと明らかに黒い方が悪役で、白の方が善人なのに。文字を解読すると印象がまったく逆になる(笑
なんだかヤバそうな雰囲気で終わってると思ってたら、実は正義の味方の復活だったか。
こういう小細工、ものっそい好きです。