GOSICK Ⅵ ゴシック・仮面舞踏会の夜

桜庭さんの本はどれも好きですが、最近は特に安定してて迷わず作者買いができるところがスバラシイなぁと思います。
今回は当たりだろうかハズレだろうかと悩みつつ、本棚の前でちょいと立ち読みなどをしてみる、なんて必要がない!
この安定感はただ事ではないですよ。
ええ、今回も、当然のように堪能させていただきました。


メイド服のヴィクトリカを!(力強く


狙ってるなー、とシニカルな視線を送りつつ、体は素直にその罠へとダイブするのがラノベ読みとして正しいあり方ではないかと思う今日この頃。
世の中、騙されたもの勝ちです。
いや、ウソですが。


ただ正直、細かいところでの不満点はいくつかあります。
トリックが古典的で先読みしやすいとか、まとまってはいるけれどボリュームに欠けるとか。
ですが、それを吹き飛ばすほどにイイです。
これまでの経験を積み重ねてきた上での二人のやり取りが、もうたまらなくツボなんですよ。


特にヴィクトリカは、色々な意味で変わってきたなぁ、と思いました。
ワトソン役(?)である一弥との関係もそうですが、精神的にも変わってきたのでは。
声と同じく老婆のように達観し、どこかイラついて攻撃的で、ただ貪欲に知識を求めるだけだったのが、あのラスト付近での台詞を吐けるほどに成長した。
ああいった行動や台詞を、一巻の彼女が言えたとは、とてもじゃないけど思えないです。
こうしたシリーズを通して読んできたからこそ分かる違いは、なかなか感慨深いものがあります。



ただ……このシリーズ、ひとつだけ気になることが。
かように素晴らしいと思える本シリーズなんですが、どうもラストの雲行きがよろしくない。
灰色狼の村での占いで、「体は離れるが心は離れない」(だっけ?)という予言もありましたが、それ以外でも、ラストは離れ離れって雰囲気がそこかしこにあるような気がします。
いや、そういった悲劇もそれはそれで悪くないですし、安直なハッピーエンドとか嫌いな部類に入るんですが……
うーむ、この二人はセットでいつづけて欲しいというのは、やはりワガママなんでしょうかね。

ともあれちょいとおすすめです。