挿絵について

毎度読んでて思うんですが、このシリーズって、挿絵と本文の噛み合わさり具合がもの凄いですね。
挿絵の役割のひとつ――本文を絵という側面から表現する役割を、ほぼカンペキにこなしているのでは。
読んでて大したことの無いシーンでも、直に絵で描かれると、凄まじくバカらしかったり破壊力があったりしますし、なによりその場面が立体となって、はっきり思い浮かびます。
あえてあっさりと、本文中で描写の少なくしてある箇所を、むしろ積極的に描いているようにも見えます。
一行しかなかった本文が、一枚の絵に、みたいな。


キャラクターのズレも少ないです。
なんとなーく思い浮かべる脳内イメージの、かなりど真ん中を打ち抜いてくれやがります。
大体において絵師が得意な描き方をしているだけのものが多い現在のラノベ絵で、これだけ内容に擦り寄った描き方をしているものは、かなり珍しいのでは。
(挿絵を描くために与えられる時間が短く、そうならざるを得ない状況もあるようですが……)


また、小説の一番盛り上がる部分とか、読む手が早くなる箇所とかは、あまり挿絵が無いような気もします。
『絵』があると読む手が少し止まりますし、どうしても一呼吸おきます。この辺の呼吸というか絵の置き方が、読み返してみると凄いなぁ、と思うのですよ。
挿絵の作法(?)として当たり前のことなのかもしれませんが、改めて。