ねじまき博士と迷い猫 ねじまき博士と謎のゴースト

ねじまき博士と迷い猫 (ねじまき博士シリーズ)

ねじまき博士と迷い猫 (ねじまき博士シリーズ)

ねじまき博士と謎のゴースト (ねじまき博士シリーズ)

ねじまき博士と謎のゴースト (ねじまき博士シリーズ)


コバルト文庫ではありますが、男でも普通に読めます。
なにせ元ネタというか、元になった関係性がマイ・フェア・レディ
あれは訛りを矯正する話ですが、こちらは変人少年博士が野生児少女を引き取る話。


ロマンですよ。
ある種の理想ですよ……!
光源氏計画こそは男の、否、人類の夢と言っても過(略


とはいえパラメーターで「かしこさ」があれば、野生児少女であるリーの方がかなり上っぽいですが。
天はニ物を与えず、天才少年博士には「はつめい」以外のパラメーターが軒並み低く設定されている模様。
リーがマトモになるのと反比例するように、博士の奇行が徐々にぽつぽつと。
話が進むに従い、博士のお馬鹿さ加減と、ピサの斜塔を異次元に放り込んだようなプライドの高さが酷くなっているのは、はたして私だけの気のせいなのかどうか。


同じ作者の書いている楽園の魔女たちシリーズでもそうですが(これもお薦め、ものすごく)、文体がとても軽くて読みやすく、内容もそれほど深刻にならず気軽に読むことができます。
いや、よくよく考えると、かなりディープでシャレにならない設定で、普通なら苦悩して神とか世界とかを呪うような場面なんですが、これを独特の軽さと明るさで描かれてしまうと、思わず笑ってしまうのが不思議であり魅力。


悩んでいるはずの場面が、あまり重くならない。
リーは野生を暮らしてきた「かしこさ」で、
博士は「はつめい以外」をばっさり斬り捨てる潔さで、それぞれ深く悩まない。
人としてどちらが間違えているのかは見ての通り。


ともあれおすすめ。
古くてちょっといい少女マンガを読んでいるような気分になれます。