鉄コン筋クリート

鉄コン筋クリート(完全生産限定版) [DVD]

鉄コン筋クリート(完全生産限定版) [DVD]


面白そうだなと思いつつも時期を逸していたこの映画。
ちょいと行ってみたんですが、座ってみるとなんと満席。
おお、凄いなぁ、と思いつつも見終わっての感想。


ええ、そうですね。これは、傑作ではありません、とはいえ凡作でも名作でも駄作でもありません。
紛うことなき怪作です。
映画館を出てからの第一声が、「よく分からんけど凄かった」ですからね。
もの凄い力でぶん殴られたような気分でした。


……とはいえ最初、観はじめたころは、あまり面白いとは思えませんでした。だいたい前半の20〜30分くらいまで?
原作未読だったせいか、話の筋も概要もまったく掴めず、「うわー、なんだかアメコミっぽいなあ」とか「どんだけ場面転換するんだよ、どんだけ登場人物が増えるんだよ!?」とか「ところどころ妙に芸術っぽいのが鼻につくなぁ」とか思ってました。
そしてこれは、最後まで変わりませんでした。けれど、んなこと関係なくなるくらい面白くなるんですよ。
欠点は欠点としてあり続けた上でなお、それらを巻き込んで突き進むパワーが、こっちの脳髄を直撃してくれやがります。


それまでてんでバラバラに動いていた登場人物たちが徐々に絡み合うに従ってテンションは上がり、情けも容赦もない暴力シーンで痺れ、さらにさらにと混沌へ突き進み。観客をワケノワカラン場所まで連れて行ってくれます。


かなり、好き嫌いの分かれる映画だとは、思います。
不親切な部分も多々あるし、内省的というか幻想的な部分も出てきますし、そうしたものの拒否反応は、当然の如く出ると思います。
けれど、ハマる人はこれ、本当にハマりますよ。
私は電車に乗っている間、ぐわんぐわん頭の中が揺れてました。
乗り物酔いならぬ映画酔い。


バイオレンス、下町、イリュージョン。
三つ並べてみると何のことだかさっぱりな感じですが、そんな映画でした。