アリアンロッド・リプレイ・ルージュ(3)ノエルと白亜の悪夢


ふぃあ通一月号を聞いて、なんだか面白そうだなぁと思い買ってみました。
ええ、買ってみました。
買ってみたんですが……ッ!

以下、超ネタバレ

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とらドラ 4 (4)

とらドラ! 4 (電撃文庫 た 20-6)

とらドラ! 4 (電撃文庫 た 20-6)


相変わらず面白いなぁ。
この関係性のバランスが、とてつもなく良いです。
普通、恋愛モノはどんなものであれ、ある程度は誰と誰がくっつくかが明確になってるもんですが、これは、現段階では誰と誰がくっついても落ち着かないという、妙に不安定な状態で確定してます。
その、恋に恋して、それでいて一緒で落ち着く相手がいるって状態が、なんだかとても心地いい。


というかみのりんみのりん
みのりんメイン!
いままで美味しいキャラではあってものの、話の本筋からは常に外れていた彼女がメイン!
でもあんまり前面に出てはきてないような気がするのは気のせいなんでしょうか!?
やっぱりサブキャラの位置にいる運命なのかッ!

とはいえやっぱり魅力的。
ほぼ確実に誰ともくっつきそうにない彼女ですが、やっぱり(だからこそ?)とてつもなく良い味出してます。
かっこいい、とも違うし、かわいい、というのも微妙に違う。
元気で嫌味の無い、まっすぐな彼女がなんだかいいです。


うん、というよりも、どのキャラであっても一度会ってみたいと、そんな気にさせてくれるのが、やっぱり本書の一番の魅力なんでしょう。
掃除王・料理王で目つきが死ぬほど悪い男とか、小さくて虎で凶暴でやっぱり小さい女とか、裏表が死ぬほど激しいアイドルとか、死ぬほどまっすぐで暑苦しい男とか。
会ってみたいというよりも、一度どんなものか見てみたい?


とにかくおすすめ!

DDD 1

DDD 1 (講談社BOX)

DDD 1 (講談社BOX)


すっげー……
なんだこの求心力。
奈須きのこ氏というと、言うまでも無く「Fate/stay night」やら「月姫」やらのシナリオライターであり、なんと映画化されるっぽい「空の境界」の作者であるので、その知名度はけっこうなものだとは思うのですが……
いや、ごめんなさい。
これ、凄い。
見くびっておりました。
いや正直、「もうあんだけ稼いだ人だし、ぼったくりとしか思えない講談社BOXからの発売だし、まったく期待はできないけど、ファンとしてはやっぱり買っておくか」ってな気持ちでしかなかったんですよ。


最初の一ページでこっぱみじんにされました。


速攻で返り討ちですよ。
なんだこのケレン味たっぷり怪しさ最上の文章は!?
読んでて背中が震えましたよ。
中身を最後まで読んで、次巻の発売がいつか真剣に調べましたともさ!


いや、設定だけをただ見ると、実はそう大したことはないんですよ。「悪魔憑き」とか、片腕欠損の主人公とか。ラノベのテンプレート上では、とてもありきたりな、どこかで見た類のものだと思います。
問題は、そんなところにはありません。
物語の焦点は、まったく別のところに当てられてます。
独特の緊迫した文章。ばっさり変化してくれやがる場面転換。空の境界を思わせる病院・記憶・殺人鬼などといったキーワード。
これらですら、一つの要素でしかありません。


思いっきり、騙してくれるんですよ。
日常+悪魔憑きとかだけでも面白いのに、それだけでは飽き足らないのか、那須氏の手のひらの上、思いっきりころころ転がしてくれやがるんですよ!
こんなの回避不能だって!
ああ、もう、ゼッタイ推理小説とか大好きだ、この人。
しかもそれらに、怪しくも魅力的なキャラクターやら、あっかるくもどこか怪しい主人公やら、妙に怪しい設定やらがプラスされてるので、もう、なにがなんだか……
頭の中を気ままにかき回される感覚になれること、請け合いです。


ああ、それと、月姫Fateで使われていた手法――まず丁寧に日常を描き、徐々に『別のもの』を混ぜ込んでゆくという、ある意味気長な手法は、今回は使われておりません。端っからどっぷりと、フルアクセルで非日常に浸かってます。
その代わり、主人公が妙に一般人。気軽で気楽で自由気ままな兄ちゃんといった雰囲気。
そんな主人公が非日常を闊歩し、非日常の中で日常を叫んでくれやがるわけです。


ええ、つまり、戦闘をメインに据えているのではなく、「悪魔憑き」という現象が起きた社会や日常、こっちをメインに据えているっぽいです。

いや、もう、マジでおすすめですよ。

いま、殺りにゆきます

いま、殺りにゆきます (英知文庫)

いま、殺りにゆきます (英知文庫)


えーと、ウソ、ですよね?
こんなふざけたタイトルですし、内容もかなりイってるし、どこか怪談話めいてますし……いや、確かに超常現象こそ起きてませんが……
というか、いま、めっさ背中が寒いんですが……
ええ、実はですね、感想かこうかとページをぺらぺらとめくっていたら、副題を見逃していたことに気がついたんですよ。


実話恐怖譚


……あれー?
おかしいなぁ。
ぼく、かんじのいみがよくわからないや! あはは!


…………違い、ますよね?
ええまちがなく、紛れも無く、これはフィクションですよね!
ここに書いてあることがホントだとしたら、それがなによりも恐怖なんですが!?
「読んでて嫌悪と吐き気を催すものの、現代のいろんな面での暗部と闇を描いた、実に秀逸な短編集だなぁ」とか感心していたのに! 作者の力量に感嘆していたというのに! 他の著作も読んでみようかなと確かめ、目に飛び込んできた「猟奇殺人を描いたノンフィクション『異常快楽殺人』を発表し作家デヴュー」なんて文字は錯覚に違いないんですよね! 
いや、本当に、冗談ぬきで、ふぃくしょん、でしょ、これ。


出版社/著者からの内容紹介
精神に異常をきたす恐怖がここにある…衝撃の実話恐怖短編集。

……ああ、きっとあまぞんはうそをかいてるんだ(←超現実逃避


いや、まぁ、冷静になってよくよく考えてみれば。実話を元に創作したんでしょうけどね。
もしくは噂話を聞いてそれを参考に、とか。
インタヴュー形式っぽく話が構成されてるのもそれっぽい感じですし。物語も、刑事事件レベルのものがほとんどですし……
確かに「これはフィクションです」とも「これはノンフィクションです」とも明言されてないので、最終的にはどちらとも判断付きませんが、これは…………


いや、いやいやいや。
うん。きっとこれはウソだ。
ウソだったってことにしておいた方が精神安定上のためにいいので、そういうことにしておきます。


あ、ちなみに、本書はホラーとかグロとかに、ある程度の耐性がないと本書は無理です。
絶対に不可能です。
無ければトラウマになります。
いくらかは斜め読みでかっとばさないと、私には読めませんでした。
ゴ……が出てきて使われたり、骨が…………とかね、
いやもう、日常生活を舞台にしたもので、これ以上アクセル踏み込んだものってそうそうありません、というかありえません。


ただ、それらを抜きにして読めば、優れた短編集であることは確かです。
とても上手く『暗部』を突いてるんですよね、この小説。
意識の闇だったり死角だったり家であったりシステムであったりするわけですが、とにかく日ごろ意識してない部分の、あえて目をそらしている部分に向けて、錐のような鋭さで貫いてくれやがります。


なにせ犯人たちの行動理由が意味不明で理解不能
性的な犯行であればまだ理解の範疇だというのに、それすら行わないものが多数。
(どうでもいいですが、現代の闇=性的な抑圧というのがあまりに一般化されすぎて、むしろ陳腐極まりないものになっているように思えるのは私だけですかね)
人の狂気、いや、『理解できない他人の行動』が、とても秀逸です。
なによりも怖いのは人間であると、まざまざと納得させてくれる本です。



以下ネタバレ

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挿絵について

毎度読んでて思うんですが、このシリーズって、挿絵と本文の噛み合わさり具合がもの凄いですね。
挿絵の役割のひとつ――本文を絵という側面から表現する役割を、ほぼカンペキにこなしているのでは。
読んでて大したことの無いシーンでも、直に絵で描かれると、凄まじくバカらしかったり破壊力があったりしますし、なによりその場面が立体となって、はっきり思い浮かびます。
あえてあっさりと、本文中で描写の少なくしてある箇所を、むしろ積極的に描いているようにも見えます。
一行しかなかった本文が、一枚の絵に、みたいな。


キャラクターのズレも少ないです。
なんとなーく思い浮かべる脳内イメージの、かなりど真ん中を打ち抜いてくれやがります。
大体において絵師が得意な描き方をしているだけのものが多い現在のラノベ絵で、これだけ内容に擦り寄った描き方をしているものは、かなり珍しいのでは。
(挿絵を描くために与えられる時間が短く、そうならざるを得ない状況もあるようですが……)


また、小説の一番盛り上がる部分とか、読む手が早くなる箇所とかは、あまり挿絵が無いような気もします。
『絵』があると読む手が少し止まりますし、どうしても一呼吸おきます。この辺の呼吸というか絵の置き方が、読み返してみると凄いなぁ、と思うのですよ。
挿絵の作法(?)として当たり前のことなのかもしれませんが、改めて。

とある魔術の禁書目録(インデックス) (12)



このシリーズ、ふとが気つくとヒーローものではなく群像劇ものになりつつあるような気がするのは、果たして私だけの気のせいなのかどうか。
主人公であるはずの上条当麻が、いつの間にか『けっこう美味しい脇役』ってポジションを獲得しつつあるような?
ともあれ毎度のようにヒロインをナンパし、問題を解決し、そのまま放置するシリーズの第12巻。
なんと12巻。


ですが今回、いままでの慣例とお約束を打ち破り、新たなヒロイン役が登場していません……!
外伝的話ならばともかく、主人公がメインを張っている回では必ず現れていた新ヒロインが、今回はいない!
おお、なんてことだ! いったい作者にどんな意識の改革が!?
とか思っていたら、内容はあまり変わっていませんでした。
もしくはこれはヒロインが御坂で確定という証左
むしろ、新キャラの過去とか人物造形とか抱えてる問題が無い分、個人的には楽しめました。
なんだか実はそろそろ最終回なんだろうかと思ってしまえるほどに、いままで登場してきたキャラクターがわいわいやっています。
学園コメディ編がついにスタート? とかオビに書かれてましたが、まさにそんな雰囲気。


前半の八割くらいまでは。


うーん、いったい次巻ではどうなるのか。
ブコメもいいけれど、このシリーズの根幹を成すのは、やっぱり熱さとか逆境を打ち破ることにこそあるんだなぁ、とか思ったり。
ともあれ、いままで買ってきた人にはおすすめ。
短編集とか番外編みたいな仮面を被ってますが、実は序章的な役割の模様。
うん、普通に次が楽しみです。

それでも町は廻っている

それでも町は廻っている 1 (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 2 (ヤングキングコミックス)



これほどまでにメイド喫茶の設定が無意味なマンガって、他にあるだろうか!?



萌え? それってどこの星の話ですか? だってこれって制服だし。
そんな話が聞こえてきそうなくらいとてつもなくナチュラルにメイド服を着てやがります。
というか、喫茶店のマスターである老婆までもがメイド服を着ている時点で、明らかに間違えてます。
もはやメイドじゃない。魔女です。
しかもどういうわけか意外と自然に着こなしてるし……


それでも最初の方は、いくらかメイド喫茶的な話は出ては来るんです。
ええ出てきます、出てはくるんですが、メイド服うんぬんとかまったく関係ない話をするようになってからの方が面白いと言うのは果たしてどういくことなのか!?
メイド分が抜け、個々の登場人物から不自然さが抜けるに従って、店の外へと話が広がり、がぜん面白くなるんですよ。
メイド喫茶の話、ではなくて、
メイド喫茶のある町内の話。
メイド<町内。
笑いあり涙あり人情ありの、下町を舞台にした小話といった雰囲気が、いや、もう、とてつもなく素晴らしい。
下町でメイドがどたばたする話と、これだけ描くとどこの異次元かと思いますが、なんだか素敵にマッチしています。


ただ、一話一話の独立した小話であるだけに、まったく予想のできない展開からまったくの投げっぱなしで終わることもしばしばです。
「そこで終わるのかよ!」と叫ぶこと請け合い。
そして明らかに「え、そこは無かったことにして普通に続けるべきじゃ!?」というところが続きます。


主人公の愛すべきバカさ加減と、いまどき書くのも恥ずかしい『下町人情』が融合した話。
ときたま怖いぐらいにリアルなコマがあるのが、面白くもありちょっとした恐怖でもあります(笑
あきらかに画力を無駄遣いしたコマが……!


以下、ちょっとしたネタバレ感想

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